中性的なダビデ像の存在は、何を物語るのか
美術ヌードモデルで男の娘の春海です。
ダビデ像と言えば、美術に詳しくない人でも知
っている有名な裸像作品です。
筋骨隆々とした鍛え上げられた男性の肉体美を
表現した作品ですよね。
中性的で女性みたいな僕とは真逆です。
そんなダビデ像。他にも雰囲気の違うダビデ像
が有るのを知っていますか。
今回は、中性的なダビデ像の紹介です。
美術ですけど、ヌードが出て来るので不快に思
う方と18歳未満の方は、ご遠慮ください。
ダビデ像とは
芸術作品なのでボカシは、無しにしますね。
だって、美術館でもこの状態で公開されている
ので問題無いはずです。
誰もが知っているダビデ像です。
有名なミケランジェロの作品です。
ルネサンス期を代表する作品で、人間の自然美
をリアルに再現しています。
今まさに敵に石を投げようと構えている様子が
凛々しい彫刻ですね。
彫刻なのにリアルにアンダーヘアーも表現され
ています。
そして、凛々しい肉体に合わない小さな性器。
しかも包茎です。
この彫刻は、フィレンチェの大聖堂に旧約聖書
を題材とした人物を12体飾るという計画のも
と制作されたうちの一体です。
ダビデ像の制作開始は、1464年まで遡り、
何人かの製作者の手によって作られては中断し
て25年も放置される時がありました。
その後、レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ数
人の芸術家に製作再開を依頼したが、結局若き
ミケランジェロに依頼することになりました。
ミケランジェロは、なぜか彫刻の周囲に囲いを
作って秘密裏に制作したと言われています。
よほど集中して制作していたのかと思います。
有名な作品ですが、紆余曲折あって完成したと
いう経緯があります。
今は、フィレンツェのアカデミア美術館に収蔵
されています。
こんなダビデ像もある
この3体も実は、ダビデ像なんです。
ミケランジェロの作品とは、だいぶ雰囲気が違
い華奢な印象です。
一番左のは、女性的な感じさえします。
実は、この少女みたいな作品が一番古くミケラ
ンジェロの作品は、新しい部類なんです。
ドナテッロは、ルネサンス期においてはじめて
裸像を作ったともされています。
このダビデ像がそうです。
その他にも多くの作品を残しています。
そもそもダビデ像のダビデとは、古代イスラエ
ルの王となったダビデです。
それは、旧約聖書に載っていて紀元前千年ころ
の人物と言われています。
ダビデ像の題材は、旧約聖書の「サムエル記」
です。イスラエルの民が、敵の巨人ゴリアテに
恐れおののいている時に、一人の羊飼いの少年
が、立ち向かい斃したという伝説です。
聖書中にもダビデは、美少年だったとか、甲冑
を身に着けていなかったとか書かれています。
裸だったという記述はありません。
裸にしちゃったのは、ルネサンス期に自然科学
が復興して、在りのままの肉体美を追求したい
芸術家の欲望がそうさせたのかもしれません。
僕は、史実に一番近いのは、ヴェロッキオのダ
ビデ像なんじゃないかなと思います。
ミケランジェロのは、青年。逞しすぎます。
ドナテッロのは、後で、詳しく書きますけど、
個人的な趣味か依頼主の趣味だったんじゃない
かと思います。
中性的なダビデ像
このダビデ像。ダヴィデなんです。
それは、ともかくプロポーションがとても女性
的です。しなやかな曲線美です。
小さいけど膨らみのある胸の表現。
丸いお尻のラインと柔らかな身体のライン。
ツルツルの小さな包茎の男性器。
どれも中性的な雰囲気です。
少年というより少女みたいな感じです。
見れば見るほど不思議なブロンズ像です。
古代以来、初めての裸体立像とされています。
初めての裸像が中性的とは、謎めいています。
この中性的なダビデ像は、当時栄華を誇ってい
たメディチ家の宮殿の装飾用に作成されたそう
です。
メディチ家は、当時多くの芸術家のパトロンを
してルネサンス期の芸術活動に大いに尽力した
富豪家です。
推測ではありますけど、この像は、同性愛の性
的思考が反映されていると言われています。
確かに、女性的な美少年の雰囲気満点です。
ドナテッロ自身が、同性愛者だったかは、資料
が残っていないのですが、この当時は、同性愛
は、珍しい存在ではありませんでした。
しかし、この当時は、同性愛は、禁止されてい
たので、聖書の題材つまり「神」の領域の人物
ということでお茶を濁していた。そんな感じで
はないでしょうか。
僕が、このダヴィデ像を見たのは、写真ですが
女友達から「君に似てるね」と見せられた時の
ことです。
15世紀に僕みたいな中性的なモデルが居たん
だと思うと感慨深いものがあります。
僕がダヴィデ像のモデルになってみた
この作品は、僕がダヴィデのモデルになったも
のです。どうですか?ポーズ同じでしょ。
ドナテッロの中性的なダヴィデ像を更に中性的
にした感じです。少年というより美少女戦士の
雰囲気です。
胸は、僕のほうが膨らんでいるので、より女性
的な感じです。
全裸というのが、また魅力的です。
ブロンズ像と違い、カラーなので生々しさが、
一段と引き立ちます。
荒涼とした大地に生命力溢れる美しい裸体が、
何とも言えない雰囲気です。
大事な部分は強くボカシを入れているのでまる
で女性の様に見えますけど、実際は、ちゃんと
描かれています。それも超リアルに。
芸術作品なんですが、ちょっと残念です。
ゴリアテの首を模して箱を作り、それに足を置
いてドナテッロのブロンズ像を意識してポーズ
を取りました。
油絵なので、1週間ほどかかりました。
その間僕は、全裸でポーズを取り続けました。
女友達数人が共同制作です。
約1週間かけてヌードモデルをしていたので、
1日8時間近く裸のまま。なので、しまいには
休憩時も裸のままで、お茶したり、お菓子を食
べたりと和気あいあいとした制作活動でした。
出来上がった作品は、なかなかの仕上がり。
美しい全裸に大きなソード。そしてゴリアテの
生首が、不思議な雰囲気の作品です。
どうですか?ドナテッロのダヴィデに似ていま
せんか。
ドナテッロの作品は、細部に渡り緻密な描写が
されているのでモデルの存在感があります。
僕みたいな中性的なモデルが居た。
そんな気がします。
中性的という存在感
古代ギリシャや古代ローマ時代にも中性的な作
品が、たくさん作られました。
両性具有の神、ヘルマプロディートスの影響も
あるかもしれませんが、身体が女性で股間には
小さな男性器が付いた彫刻が、数多く残されて
います。
見る者を困惑させつつも魅了してやまない中性
的な作品たち。異質な存在感を放っています。
古代の自然科学を復興するルネサンス期におい
ても中性的な作品が生み出されました。
不思議なのは、男性器が、みんな小さくて包茎
なこと。
これも古代ギリシャの風習「小さい男性器ほど
美しい」を踏襲した結果です。
中性的な作品には、不思議な魅力があります。
女性的な身体に小さな包茎の男性器の君合わせ
は、何を意味しているのでしょうか。
両性具有に対する憧れ?
いや、実際に中性的なモデルの存在を感じ、ま
た、自分自身が中性的なモデルなので、そんな
身体に対する魅力があった結果、作品に残され
たのではないでしょうか。
僕の様に、男性器が小さく色白で綺麗で、女性
的な身体でAカップの胸を持つ男性は、珍しい
存在です。
故に、それを目にした描き手は、好奇心旺盛に
僕を執拗に観察します。
古代やルネサンス期においては、中性的な作品
は、同性愛志向の対象でした。
美少年愛が盛んだった頃の名残です。
古代は、同性愛は、より崇高な愛だとされてい
ました。あのソクラテスも美少年好きだったと
いうことが、それを証明しています。
確かに、僕の彼も、僕の中性的な身体に魅了さ
れているうちの一人です。
僕の、中性的な身体も、描き手にそうした目線
で見られているかと思うと複雑な気がします。
けれど、美しいと評価されて嬉しく思います。
まとめ
ダビデ像といえば、凛々しいお姿が有名ですが
真逆の中性的なダヴィデ像があるという事実、
いかがだったでしょうか。
僕は、中性的なダヴィデ像には、モデルの気配
が感じられます。
自分に似たモデルの存在は、心強く思います。
そして、中性的な身体に美術的価値があること
に、とても嬉しさを覚えました。
男だから凛々しくないといけない。そんな既成
概念を覆す中性的な男性ヌードモデル。
自分の存在価値が認められたような気がするド
ナテッロの中性的なダヴィデ像でした。